2021年04月07日
ラジカル制御型塗料とは
ラジカル制御型塗料は、2012年に日本ペイントが初めて建築用の塗料で製品化した塗料です。
その後、エスケー化研・関西ペイントなどの大手塗料メーカーが追従して製品化しました。
ラジカル制御型塗料という言葉自体、馴染みのない方も多くいると思いますが、現在では市場での需要も高まり、塗料メーカー各社がラジカル制御型塗料の開発に力を入れています。
代表的な建築用の塗料
代表的な建築用の塗料を挙げると、アクリル塗料・ウレタン塗料・シリコン塗料・フッソ塗料などがあります。これらの塗料の共通点は、全て樹脂の名前が塗料の名前になっているということです。一方、ラジカル制御型塗料は樹脂の名前ではなく、付与されている「機能」が名称になっています。
つまり、「ラジカル」を「制御」する「塗料」という意味です。
このことから、制御しないといけないほど塗装に悪影響を与えるものがラジカルなのだと考えることもできます。
ラジカルとは
ラジカルとは、塗料の顔料の中には酸化チタンという化合物が太陽光にさらされることで発生するイオンのことです。このイオンはとても不安定で、樹脂の成分と反応して安定しようとします。ラジカルに結合されて不安定になってしまった樹脂の成分は少しずつ劣化が進んでいきます。
つまり、ラジカルによって塗料は劣化していくのです。
これを制御する技術として開発されたのが二つあります。一つは、高耐候酸化チタンです。
ラジカルを発生させる酸化チタンを強化したもので、ラジカルが出ないようにして、樹脂の劣化を遅くさせる効果があります。
もう一つは、ラジカルが発生した時に光安定剤という添加物が、樹脂を破壊する前に「ラジカル」と結合し無効化する役割を持っています。
全てのラジカルを無効化するわけではありませんが、ラジカルが樹脂に与える影響を抑えることができます。
この二つの機能により、ラジカルを制御する塗料が開発されました。
したがって、従来のように塗料の樹脂の強度を上げて耐久性を上げることから、樹脂の劣化を遅らせることにより、耐久性を上げるという考え方に転換してきているのが、最近の塗料業界の動向です。
このような機能は、他の塗料と比べると特別な機能と言えます。BXゆとりフォームとしても、自信をもっておすすめする塗料です。
BXゆとりフォームがラジカル制御型塗料をおすすめする二つの理由
理由①
ラジカル制御型塗料は、シリコン塗料にその技術が応用されることが多い為、シリコン塗料以上の耐久性が期待できるという謳い文句で、各塗料メーカーから発売されています。
下記は、各塗料の期待耐久年数と、工事金額の目安を表にしたものです。
※工事金額は、30坪で壁面積130㎡を想定しています。
足場の組み立て・解体、高圧洗浄、現場のビニール養生、外壁塗装3回塗り、破風塗装、軒天塗装、水切り塗装を含み、諸経費・消費税込みの金額です。
塗料名 | 期待耐候年数 | 工事金額目安(諸経費税込) | 備考 |
アクリル樹脂塗料 | 4~7年 | 620,000円 | 短期間 |
ウレタン樹脂塗料 | 5~8年 | 667,000円 | 短期間サイクル |
シリコン樹脂塗料 | 5~10年 | 762,000円 | 現在の需要が高い |
ラジカル制御型塗料 | 7~15年 | 846,000円 | BXゆとりフォーム推奨塗料 |
フッ素樹脂塗料 | 9~16年 | 998,000円 | グレード高め |
表を見て気づくことが、シリコン樹脂よりも耐久性が高いのにも関わらずフッソ樹脂の塗料より、15万円程安価な点です。
今までは、高価なのでフッソ樹脂塗料までは手が届かないですが、シリコン樹脂塗料よりは長持ちする塗料が良いという場合に、他に選択肢はありませんでした。
そのような方にとってはとても良い価格帯の商品であると言えます。
更に耐久性のある塗料はありますが、樹脂を強くしようとすると、その分大幅に金額が上がります。
樹脂を強くするのではなく、樹脂が劣化しづらい機能を付与したからこそ、シリコン塗料との価格差が少なく済みます。
この点が、BXゆとりフォームがラジカル制御型塗料をおすすめする一点目の理由です。
理由②
現在の塗料の市場を見てみると、シリコン塗料の需要が、一番高いです。
約15年から20年前まではウレタンの塗料が人気でした。それが住宅の高耐久化の流れにのって急激に変化しました。
今後の動向を考えると、まだまだ住宅の高耐久化への意識は上がっていくはずです。
その根拠となるのが、近年の自然の猛威です。
記憶に新しいのは、関東地方を襲った巨大な台風です。その他にも、東北地方を震源にした大地震など、防災意識が高まるとともに、住宅に求める安心感も更に高まっています。
更に、オゾン層の破壊による紫外線照射増加により塗膜の寿命は昔に比べると確実に短くなっていると言えます。また、塗料は太陽光以外にも雨や熱でも劣化が進みます。酸性雨による劣化や地球温暖化による気温の上昇など、塗料にとっても厳しい環境です。このような状況が続くと、シリコン塗料がひと昔前のウレタン塗料の様に耐久性の面で使用されなくなることも想像できます。
外壁塗装は、10年以上のサイクルで考えるものなので、塗装した直後ではなく、数年後の状況まで考えることをおすすめします。
この点が、ラジカル制御型塗料をおすすめする二点目の理由です。
まとめ
耐久性だけ求めるのであれば、ラジカル制御型塗料以外にも強靭な塗料はありますが、樹脂の強さの分、価格は大幅に上がります。費用ももちろん大切ですが、耐久性との費用対効果を考えた時にラジカル制御型塗料はおすすめです。
一方で、ラジカル制御技術は、まだまだ新しい技術なので、実績が少なく心配だという声もあります。
その点は、各塗料メーカーが特に力を入れて開発しているため、科学的な実証が多くあります。また、住宅のみではなく、世界中の大手の車メーカーの車体塗装にもラジカル制御技術が施された塗料が使用されていて、重宝されています。